【197本観た】2024年心に残った映画ベスト10

映画

去年は、2023年に読んだ本の中で特に心に残った10冊を紹介しました↓

【235冊読んだ】2023年心に残った本10冊
2023年に読んだ235冊の中から、とくに心に残った10冊の本を紹介します。これから本を読む方の参考になれば嬉しいです。

2024年は本よりも映画に親しんだ1年だったので、心に残った映画10作品を紹介したいと思います。

本題に入る前に、今の私の映画との付き合いについて、ちょっとどころではなくだいぶ長めにご紹介しますね。

前置きはいいからランキング見せて!という方は、こちらからジャンプできます!

フィルマークスでの映画記録が楽しい

2024年6月から、フィルマークスで映画記録を付けています↓

美咲の映画レビュー | Filmarks
Followers:4人 / Following:0人 / レビュー数:205件

現在、ほとんどの映画は映画館ではなく、自宅のテレビで観られるものを観ています。

その際にもこのフィルマークスが結構、良くてですね…!

まず、見る作品を選定するのに役立ちます。
テレビで観られるものを観ると言っても、これが結構あるもので…!
どの作品を観るかというより、むしろ、どの作品を観ないか決めることが重要だなと感じています。映画って、観始めると短くても1時間半かかるので。

そんな「何を観ないか決める」際にも、フィルマークスが参考になるのです。
もちろん最終的には、自分ではじめの15分を観てその作品を観るかどうか決めるのですが…
それでも、フィルマークスの評価で3.5を超えない作品が自分にハマることはあまりなく、よほど興味のあるテーマでない限り観ないことが多いです。

また、私がフィルマークスで評価をつけるときの感覚はこんな感じ↓

5.0 人生に影響を与える
4.0 心に残る
3.0 面白い

あくまで私の主観的な評価ではありますが、2.0以下を付けそうな作品は観ないようにしています。

そんなお気に入りのサービス、フィルマークスですが、1点だけ気になるのが、悪気なくネタバレしているレビューが多いこと…!
ネタバレレビューを隠す機能があるのに普通にネタバレしていたり、あらすじを詳細に書いているレビューがそこそこあって…個人の思うネタバレの定義に差があるのかな?と思ったり。

私が好きな感じの映画

映画をよく観ていた中学生〜大学生の頃と今とでは、観る作品もずいぶん変わりました。
当時好きだったものは今も好きなことが多いけれど、当時観なかったような作品を観ることが圧倒的に増えました。

現在の私が高評価をつける作品には、3つの傾向があります。

観る者を能動的にさせる作品

「これはどういうこと?」
「この表現にはどんな意図があるんだろう?」
「この作品から受け取れるメッセージってなんだろう?」

などなど、観ているこちらが能動的にさせられる作品が好きです。
観ている者に対して「問い」がある作品と言い換えることもできそう。

例えるなら、現代美術の展示を鑑賞するときの感覚に近い気がします。
知性と感性を大いに刺激されるので、観たあとはぐったりすることも多いのですが、それでも余韻が数時間や数日に渡って続くような、考えることに終わりのないような作品が好き。

社会的、哲学的なメッセージを含む作品

最初の特徴にも関連するけれど、社会的メッセージや哲学的メッセージを含む作品も好き。

明るい雰囲気の映画ももちろんあるけれど、ほとんどはちょっと暗いかも。
だから、素晴らしいけれど、自分へのダメージが大きすぎて二度目は観られそうにない…と思う作品もあります。

美的に研ぎ澄まされた作品

本で言うなら純文学のような…
映画という手法で作り出せる美しい表現を追求した作品も好きです。

構図が美しい、音楽と映像の調和が美しい、モノクロなら白黒の比率が美しい、カラーなら色彩の合わせ方が美しい、台詞が美しい、などなど…
この世界の美しさを映画として表現しようという試みが分かるような、「この画面をずっと見ていたい」と思わせてくれる作品も大好きです。

…私の好きな映画の傾向はこんな感じです。
6ヶ月間映画をいろいろと観てみて、映画賞ではカンヌ国際映画祭との相性が特に良いと気づきました。

意外にも、アカデミー賞やゴールデングローブ賞の作品は、スケールが大きくてすごいとは思うけれど、心の奥に残り続けるような作品は意外と少ない、というのが私による私の印象。
このあたりって映画好きの中でも個人差がありそうですよね。そんな違いがあるところも面白い!

…こう書くと、結末がよく分からないような、小難しい映画しか好まないように思えるかもしれませんが…
エンターテインメント系なら、サスペンス、ミステリー、アクションが大好き!
重厚感ある作品の合間には、こういう作品が絶対必要だと思っている派。

…さて、前置きが長くなりました!
2024年6月から12月までに観た197本の中から、個人的ベスト映画を1位から紹介します。

1位|枯れ葉

2024年の個人的ベスト映画1位は、アキ・カウリスマキ監督の『枯れ葉』です。

197本観たなかでの1位、これか〜という気がするのも事実。
でも同時に、やっぱりこれだよなあ、これしかないよなあ、と思うのも事実。

というのも、7回くらい観たのです。笑
1回目を観終わってそのまま2回目を観て、その後も折に触れて観たくなり、なんだか毎日観ていた時期があったような…
そのくらい、なんだか観ていたいし、また観たいなと思わせてくれる1本。

この不安定でままらない世の中で生きるなかで、愛という点をあきらめないふたりの姿が美しく、今を生きる私たちのひとつの姿だよな〜と深く感じ入る作品。

ストーリーは特に明るくもないはずなんだけど、色彩や小道具が美しく、なんだか心地良い空気感が作品全体を通してあるのですよね。
現実的に目の前のことを見たら悲劇的なんだけど、でもそれを包む大きな空気感は喜劇的というか。そしてその大きな空気感のことを人生というのかも。

個人的には、登場人物たちのミニマリスティックな暮らしぶりや持ち物が大好きです。

あと、1時間20分の間、無駄なところがなく、すぱっと終わるのも好き。
どちらかというと、長い映画よりは短い映画の方が好みです…!

2位|コンパートメントNo.6

第2位は、ユホ・クオスマネン監督の『コンパートメントNo.6』です。

2024年に観た映画の中で一番泣いたかもしれない。
観た方はお分かりだと思うけど、別にそんなに号泣するような映画ではない。
でもなんだか、私には何かがぶっ刺さってしまって、2日間で5回くらい観たのだけど毎回号泣。

主人公たちの脆くて柔らかい心情が、風景や小道具、ファッションやヘアメイクなど画面に映るものと絶妙にブレンドされていて…それがこちらの心にもそのまま伝わってきて温かくも痛い、そんな感じ。

でもですね、物語を通してずっと「愛しい」って気持ちが湧いてくるような、さびしい心に寄り添うような作品で、もうすごい好きです。

わたくし、リョーハ役のユーリー・ボリソフさんが好きになってしまって、2025年に観たい映画の『ANORA アノーラ』にも出演されているようなので、そちらも楽しみ。

3位|パスト ライブス/再会

3位は、セリーヌ・ソン監督の『パスト ライブス/再会』です。

観る前から絶対私の好きな感じのやつだと思っていたけどやっぱり好きだった。
まずもうこの、ポスター↑からして最高じゃないですか??

この作品のキーワードに「縁」「前世」があるのですが…
背景のメリーゴーランドがそれを象徴しているみたい。幼く、どこか古く、もの哀しく、美しく、それでいて希望的な象徴として。背景の絶妙に曖昧な色も胸をきゅっとさせる。

主人公たちが私と同世代なので、登場するコミュニケーション手段が自分の大学時代のそれとぴったり合致していて、「くぅ〜!」となります。

ラストシーンの、それぞれの登場人物の気持ちがじわじわと漏れ出して自分にまで流れ込んで涙になっちゃうような、静かだけど豊かなシーンがとても好き。

4位|ビフォア・ザ・レイン

4位は、ミルチョ・マンチェフスキー監督の『ビフォア・ザ・レイン』です。

こちらは正直言って全くノーマークだった作品。

舞台は北マケドニア共和国なのですが、どこ…?て感じですよね。
私もそうで、イメージとして浮かんだのは世界史に出てきたマケドニア王国と、ギリシャはじめ複数の国と隣接しているので領土問題などありそうだなあ、ということくらいで…

作品中では宗教的な対立も描かれており、また知らない場所について知識を頂いたな…と強く感じる作品でした。
(そして後に、北マケドニアやアルバニアを旅した友人の最高すぎるブログを読みながら、この映画に思いを馳せた)

この映画、完全ノーマークだったので、最初の15分を観て好みに合わなさそうなら観るのをやめよう、と思っていたのですが…
冒頭から北マケドニアの圧倒的な美しさを見せつけられて、全く目を離せなかったです。
そんなふうに観ている間に物語に引き込まれて、夢中で鑑賞しました。
この作品も、1回目を観終わってすぐ2回目を観始めた1本。

個人的に、時間軸が一方向でなかったり、凝った脚本の作品が大好物なので、こちらもかなり好み。

また、「ん?これどういうこと?」という場面が気付くかどうかくらいのさりげなさで散りばめられていて、それについて思い巡らしたり、自分なりの解釈を見つけるのが楽しかったです。

5位|TAR/ター

5位は、トッド・フィールド監督の『TAR/ター』です。

これも5回くらい観た。

冒頭シーンの長台詞がすごいと同時に、長すぎて私の興味が迷子になりかける。
こんなに長い必要あるのか…?と初めは思ったけれど、でも主人公の権力や自己陶酔的な人物像を表現するのに効果的で、やっぱり必要だなと2回目以降思わされるのであった。

わりとずーっと不穏で、うっすら怖い感じが続くのですが…
ほとんどホラーを観ない私なのに繰り返し観られるのは、主人公のファッションや持ち物、家やレストランのインテリアなど、高潔で美しい印象が残り、怖いところを和らげているからなのかなと思ったり。

細かい仕掛けが本当にたくさん効いていて、観るたびに発見がある1本。
理解できない部分は調べることで知識を補って、また観て考えると理解が深まります。

興味深いラストシーンは解釈が分かれるところですが、私は繰り返し見るごとに、再生と希望だという確信が強くなっています。

6位|怪物

6位は、是枝裕和監督の『怪物』です。

2024年6月にこの映画を観たことで「うわ、もっと映画観なきゃじゃん…!」と思わされた、私にとって大きなきっかけとなった1本。

1回目を観てすぐ2回目を観て、そこから3日くらい引きずりました…
そのくらい、私にとっては大きな感動と衝撃のあった作品。

この映画もけっこう泣いた1本で、あまりに胸がぎゅっとなりすぎるので、未だ3回目は観られていません。

ちょっとおこがましいけれど、たくさんの人に観て、考えて、自身のものの見方を見つめるきっかけとして欲しい作品です。

ラストシーンが印象的ですが…
結局どうなったのかと事実を判断することよりも、取り巻く人々も含め、彼らにとって明るい道が開けた、ということが一番大事なこととして表現されているのではと私は考えています。

あ、ちなみになのですが…!
7位以降は、おなかにずっしりくるヘビー級の重たいラインナップになってしまったことを事前にお伝えしておきます…!

7位|ソフト/クワイエット

7位は、ベス・デ・アラウージョ監督の『ソフト/クワイエット』です。

フィルマークスのレビューにこんなにも「胸糞悪い」が並んでいる映画を私は他に知らない。

タイトルの言葉は、予告映像にも含まれている”Soft on the outside because we tread quietly(字幕:表向きはソフトに ひそかに心に入り込むの)”というセリフで登場するのですが、観終わるとほんと…どこがやねーん!!な感じ。でも秀逸。

こちらの作品、ワンショットで撮影されているのですがそれもすごい。
この作品に関わるあらゆる人が、信念を持って作り上げたのだろうなと感じました。

とはいえ、作品の中で明るいパートはひとつとして無いので、二度目は観られていないし今後も観られないと思う。でも、間違いなく意義のある素晴らしい作品だと思ったのでランクイン!

※予告編だけでもきついかも。注意!

8位|ポエトリー アグネスの詩

8位は、イ・チャンドン監督『ポエトリー アグネスの詩(うた)』です。

この作品もね…!
重たい。苦しい。でも、そうなりすぎないように作られているのがすごい。

元来きれいなものが好きな主人公の目を通した画づくりがされていて、美しいものを感じる場面もたくさん出てきます。
でも、きれいなものしか見ないというわけにはいかない出来事が起こるわけで、それに対して主人公がどう向き合っていくか…という見せ方が素晴らしい。

9位|オアシス

9位は、またもやイ・チャンドン監督の『オアシス』です。

「あ〜観たことあるけど内容覚えてないな〜」とは何年経っても絶対ならなさそうな作品。
ここでもあらすじを語ってしまうことはできるのだけど、あえてそうはせず、自分で観て欲しいなと思える作品。

ファンタジーの組み込み方が秀逸で、胸に迫ります。
また、主演のお二人の演技も気合いが入っていて素晴らしかった。
映画としての美しさと、作品を通して伝えたいメッセージの明確さのバランスも秀逸。

イ・チャンドン監督作品は『バーニング』もなかなか好きで、不思議と何度も見返したくなる魅力的な作品が多いです。

10位|息もできない

10位は、ヤン・イクチュン監督の『息もできない』です。

3連続韓国映画。
こちらの作品、主演のヤン・イクチュンさんが監督、脚本、編集も務めたとのこと。

作中の半分くらいは暴力シーンな気がするし、身も心も痛くなるような場面が続くのだけど…
登場人物たちの寂しさや苦しさ、そして愛が作品全体を通して溢れていて、胸に迫るものがありました。

素晴らしかったけど、観るのに気力体力が要るので2回目は観られないかも。

まとめ

2024年に観た197本の映画の中から、個人的ベスト10の作品を紹介しました。

2025年もたくさん映画を観るぞー!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

何か参考になることがあれば嬉しいです。

旧正月テト前のこの気候、春だな〜と感じて気持ち良い
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